白川町社会福祉協議会に勤める笹本朋子(ささもとともこ)さんは、元々は愛知県の出身。ご両親が佐見地区へ移住したことが縁で、ご自身も白川町で福祉の仕事を始めました。
「自分に向いている仕事なのかは分かりません。ただそれでもやっぱり、みんなで支え合って生きていくことは大切なことだと思うんです」
福祉の仕事に携わるなかで感じることを、お聞きしてきました。
白川町で福祉の道に
——笹本さんは、愛知県出身なんですよね。白川町にはどういった経緯で来られたんですか?
私が高校生の時に、佐見地区を気に入った両親が脱サラして移住したんです。それで高校は兄姉と暮らしながら通ってました。
——高校在学中にですか…!
そうです。まあ、特にそれについては何も思わなかったんですけど(笑)
私は大学から愛知県を出たんですけど、就職も他県でして、そのあと転職して愛知に戻ったんです。転職もいくつかしていたし、やっぱり資格があると良いなと思って、介護福祉士の資格を取ろうと思いました。

お母さんに看護師の資格を勧められたものの「採血とかもできそうにないし、手先が器用じゃないし(笑)」と介護の資格を選んだそう
——そこから福祉に。
母親が介護の仕事を長いことやってたっていうのもあって、イメージしやすかったんです。
介護の学校に通う時に、生活のこともあるし両親がいる白川町に来ました。それで、そのまま白川町で就職したんです。
——住むなかで白川町を気に入ったんですね。
高校生の時から休みになったら両親に会いに来ていたので、どういう場所かも分かっていたし特に不便も感じなかったですね。
もともと自然が好きだし、こっちに来て本当に四季を感じるようになりました。みんな手づくりのほお葉寿司をくれたり、タケノコができたら採ってくれたりしますしね(笑)

笹本さんがお気に入りの場所という佐見地区の『紅葉橋』
みんなでいっしょに安心して暮らせる地域に
–——福祉の仕事は実際にやってみてどうですか?
最初の4年は介護の仕事をして、今は地域福祉の仕事をしています。
介護はやることが決まっていて、1対1で目の前の人と触れ合う仕事なので、好きでしたね。介護が必要な方は年を取ってくるとだんだん笑うことも少なくなってきちゃったりして、そのなかでたまに笑ってくれたりするとすごく嬉しいですし。
なんだろう。やっぱり…最期まで寂しい気持ちにならずに「良かった」って思って欲しいっていう気持ちですよね。
——目の前の人を支えて、少しでも喜んでもらうというか。
それと違って今の地域福祉の仕事は、地域住民みなさんに対する仕事という感じです。地域の困りごとを聞いてみなさんといっしょに何ができるか生活支援の取り組みを考えたり、社会参加を促す集まりの場をサポートしたりとか。
少子高齢化で人数も減ってきているなかで、お互いに支え合いながら生きていける地域をつくっていく事業なんです。

サロンにてレクリエーションをする笹本さん
——地域をつくっていく事業、ですか。
喫茶店とかみんなが集まれる場所はどんどん減ってるなかで、不定期のカフェとかサロンを主体的にやってくれるボランティアさんがいて、そこに来て普段会えない人が「久しぶりだね」って楽しそうにお喋りされているのを見ると嬉しいですよね。白川町は地域の繋がりがすごく強いと思います。その繋がりをこれからも大切にしていきたいです。
ただ、地域福祉は介護と違ってやることが明確に決まっているわけじゃないし、あくまで主体は地域の方々なので、どういった働きかけをしていくのかは難しくて日々考えています。
”まちおこし”みたいに派手なことじゃないですけど、みんなでいっしょに安心して暮らせる地域をつくっていくというか、住みやすい地域にしていけたらと思っています。
「やっぱりそれでも大事なものは大事」
——お話を聞いていると、笹本さんは佐見地区での生活やお仕事含めて、白川町という”地域”にすごく溶け込んでいる印象を受けます。
社協(社会福祉協議会)に入った1年目はいろいろ町内を車で回らせてもらいました。それで田んぼの石垣から車が脱輪して、地域の方に助けてもらったり(笑)
佐見のお達者教室*も担当させてもらったので、地域のことも詳しくなったし、いろんな人と知り合いになれましたね。
*社会福祉協議会が行う、プリント学習や体操などを行う介護予防事業

「サロンのみなさんは喜んでくれるし『おいでおいで』って感じで受け入れてくれて、すごく楽しいです」
——地域に溶け込む暮らしや仕事が、笹本さんに合っていたんでしょうか。
合っているかと言われたら…
——…
正直分からないですね(笑)サロンとかで人前に立って話すのも苦手なので。でも、そんな私でも受け入れてもらえるので、嬉しいです。昔から人の役に立つ仕事ができたらと思っていましたし、やりがいのある仕事だと思います。
今の時代は個人主義になってきてるし、自分自身もそういうところはあるんですけど、地域でみんなで支え合って生きていくことは本当に大事なことだと思います。
「そういうことは頭では分かってるけど、でも…」って思っても、やっぱりそれでも大事なものは大事だなっていう気持ちです。

「自分の性格には合っているかは分かりませんけど…とっても大切な仕事だと思います」
——親密な人付き合いがあるからこその、疲れというか、そういうのもありますよね。僕も気持ちが分かります。
でもそういういろんな感じ方をする人がいるのが地域だと思うので、無理をして何かをするというよりも、みんなで自然に住みやすくしていきたいですね。
——白川町に来て福祉に関わり地域に入っていくなかで、笹本さんが大事にしていることってありますか?
私もまだ白川に来て8年ぐらいだし、全然知らないことばかりなんですよ。だからやっぱり、地域の方にいろいろお聞きするのが大事だと思ってます。
人口も若い人も減っちゃってるから、移住の人の力が大切になってくると思うんですけど、やっぱり、ずっと住んできた方々の想いは大切ですよね。これまで暮らしてきた人の気持ちも大切にしていきたいと思います。

地域で生活していると、仕事はもちろん、暮らしのなかでも自分が担う役割がたくさんあります。自分の性格や考え方に、合っている部分も合っていない部分もあるなかで、笹本さんはその役割と向き合い続けています。
【笹本 朋子(ささもとともこ)さん】
出身 :愛知県
学校 :あじさい看護福祉専門学校(現在:中部国際医療学院)
職歴 :特別養護老人ホーム、サンシャイン美濃白川
趣味 :お菓子づくりや編み物の動画を観て、気が向いたらつくってみること
読んでいる人に一言 :みなさんといっしょに、安心して暮らし続けられる地域づくりを行っていきたいと思います。お気軽に声をかけてください。
取材年月:2026年1月
※記事の内容は取材当時のものです。

