こんにちは、ヤゴー編集部の澁谷(しぶたに)です。
この日は3月の春晴れ!気持ちの良い天気ということで、2026年1月に佐見地区に開通した『大岩巣(オオイワス)登山道』に行ってきました。

大岩巣登山道の案内看板と、清水さん
案内してくれるのは、登山道を整備した下佐見山楽会の代表、清水寛之さん(ヤゴーの取材記事はこちら)。普段はしいたけ農家として活躍されています。
大岩巣登山道は片道約2時間で登頂でき気軽に登ることができるものの、高低差が400mの”中級者コース”!昔は小学生の通学路としても使われていた旧道を利用して整備したとのこと。
この日は清水さん、山好きの町職員の鈴村、インドアを極めた澁谷で山頂を目指します。

腰には鉈(ナタ)も装備し準備万端の鈴村

近くの『成山公民館』に車を停めて、立っている看板に従い住宅地を上っていきます。(登山者は成山公民館のトイレを借りることもできます)

登山道入り口近くにつくと…

天然記念物のカモシカが!幸先の良いスタートです!

「カモシカ!カモシカッ!!」

「このあたりが寝床なのかな?いっつもいるけど」

「いやぁ!!!さっそく佐見地区の自然環境を満喫できて楽しいですね!」
短時間で山を満喫できる”中級者コース登山”

「…」


「…」


「きっつい!!!」

登山の服装が分からず全身サッカーの服に身を包んでいます

「少し頑張って登って頂上で良い景色を楽しむ、中級者向けのコースなんで…(笑)傾斜が強い道は、蛇行しながら登ると乳酸がたまりにくいですよ」

「白川町に住んでると車移動ばっかりで歩くことがほとんどないんですよ…」
道中はヒノキを中心とした、針葉樹の森のなかを歩いているイメージ。一部には広葉樹もあって、秋になるとタマゴタケやナメコが生えるんだとか。
登山道は初心者にとっては少し急こう配な道。常に程よい疲労感があって、集中して歩を進めることになります。休憩中に食べるお菓子や飲み物を持っていくのがおすすめ。

特に赤で囲った、山頂に向かう道のりは初心者の足にきます…!

「道中は3つのお地蔵さんがあるので、それを探して歩くのも良いですよ!澁谷さんが今座ってるとこですけど…(笑)」

3つあるうちの2つ目の地蔵

「あ、、(笑)すいません…」

「これは江戸時代から建ってる地蔵ですね。昔は生活とか行商のために使われてた道なんだと思います」

「そう考えると登山ってすごいなぁ。山のなかに何百年もの軌跡が残っているというか…」

大岩巣山頂への道と、室山の小学生が使っていた旧道『室山横手』の分かれ道

「それにここは佐見地区の『成山』と『室山』という地区を結んだ旧道なんですよ。成山には小学校があって、室山の小学生は通学のためにこの『室山横手』という道を歩いて通ってたみたい」

「僕らの親父世代の人は、子どもだけで成山からここまで遊びに来てたらしいです。きっと子どもたちの馴染みの道だったんですね」

1つ目の地点にある寝地蔵。理由は分からないものの、時たま無くなっているとか…

山頂付近にある3つ目の地蔵。1つ目と3つ目はかわいらしい置物地蔵です

「『大岩巣登山道』は尾根道もあるし、いろんな眺望もあって面白いコースです。キツい道があって…(笑)そのあと尾根道の楽な稜線に出て、そこから少し歩くと御嶽山の見える展望台に出る。良い感じの爽快感です。その面白さを味わいにたくさんの人に来てほしいですね」
疲れがたまってくると、自分の足取りに集中して歩くことになります。
自分の身体に意識を向けながら、過去の風景、道をたどっていると、不思議な充実感に包まれる。登山の醍醐味をたっぷり味わいながら、佐見地区の自然のなかを約2時間の短時間で登頂できるのは『大岩巣登山道』の大きな魅力です。
清水さんが感じる”山の魅力”

「清水さんは、いつから山登りを始めたんですか?」

「30歳ぐらいの時ですね。今の山楽会のメンバーの人に誘われて登ったら『あ、これは…!』って感じたところがありました」

農家の仕事柄日帰りの登山がメインだという清水さん。大岩巣登山道はご自身にピッタリな山だと言います

「感じたところ、ですか」

「頂上に登った時の達成感と、そこからの眺めの良さ。あとは頂上でご飯を食べた時の美味しさですかね。良い景色を見ながら食べるのは楽しいし、帰りに温泉に入ったりする小旅行みたいなお決まりの流れも好きです。登山にハマってくると、頂上で餃子を焼いたり鍋をやったりもしました(笑)」

「歩きながら究極の食事場所を探してるという感じですね…(笑)いろんな経験をされてると思いますけど、特に印象に残ってることってありますか?」

「2014年に噴火が起こるまでは、御嶽山に毎年登ってたんです。噴火した年も登っていて…山は、自然は、自分の力が及ばない大きな、偉大なものっていうのを改めて実感させられたことですかね」

「自由が利かない、それを不自由って言うのかもしれないけど、そんな山のなかで過ごすのは、普段にないものを得れる貴重な時間だなって感じます」

山ならではなの気候や動物の痕跡など、自然を肌で感じられる空間です

「なるほど…そういったなかでも、登山道開拓は間伐をしたり、登山道をつくって自然のなかの道を切り開いていく作業ですよね」

「そうですね。旧道から接続するルートを決めてそこを開拓していくのはけっこう大変でした。材木の値段が下がったこともあって、地元の山は放置されてるものが多いんですよ。そこを切り開いて、山を活用することで改めて山に意識を向けてもらえたらなという気持ちもあります」

清水さんが「絶対間伐をやらなあかんところ」と語った、管理が行き届いていない森林
山をきっかけに、白川町を知ってもらう
休憩を挟みながら、2時間弱で頂上にたどり着きました。

道中の様子。巨岩を支える怪力人間になれるフォトスポット…なのか?
頂上付近には、晴れた日に御嶽山を望めるという展望台が!

展望台からの眺め。「ここは木こりさんに、ほんとに頑張って皆伐してもらった」と清水さん。あいにくこの日はちょうど雪雲に隠れて御嶽山は見えずでした
大岩巣とは、山頂付近にある大きな岩の名称。もともとはボルダリングの団体が、ボルダリングに活用するための岩を探していたことをきっかけに、景色も良かったこの登山道を開拓することになったそう。

大岩巣付近にある看板

名前の通り大きな大岩巣

岩上からの眺め。先は崖になっていて怖いですが…良い眺めです
山頂部には休憩できる場所が3か所あり、それぞれに向きが違います。この日はお弁当を持参したので、少し広い岩場に移動して景色を楽しみながらお昼休憩。

「んん!?その道で合ってますか!!?」

ロープを持ち急傾斜を下っていく鈴村

「合ってるらしい!すごい、アスレチック!!」

「…やぁっっ!」

みなさんも慎重に降りましょう…!

降りた場所は広い岩場で、こちらも良い眺め

「ちなみに今立っているところが、ボルダリングをしようとしていた岩みたいです」

岩を上から見下ろした様子

「さすがに…ねえ?無理ですよね…?」

「今のところはまだ、岩のルート開拓はできてないみたいですね」

「ふう」

山頂でお昼ご飯の用意をする清水さん

「登山道が開通しましたが、今後考えていることがあれば教えてほしいです」

「町内の人が地元の山に入ってくれるのもそうだし、町外の人が山をきっかけに白川町を知ってくれるようにしたいですね。近くのキャンプ場といっしょに楽しんでもらう工夫をしたり、山から白川町を楽しんでもらう発展性をつくっていきたいです」

「山を拠点にいろんな地域資源が繋がると、より楽しめますよね」

「山楽会としては、大岩巣登山道をより綺麗に整備していきながら、別の山頂へ繋げるルートを歩いてみても面白いかなと思っています。連絡をもらえたら大岩巣登山道のガイドもしますし、これからも山の整備と活用に貢献していきたいですね」

大岩巣登山道の登り口。登山される際は、扉を開けてなかに入ります
登山道の入口に戻ってきました。
傾斜が強い道は、下り道ほどより足にダメージが蓄積されます…!疲れた身体は、心地良く力が抜けて、今までよりも少しだけ自分を山と近づけてくれたような気がします。

「ここは山頂からの眺めは良いし、ロープで上り下りするようなところもあるので、結構遊べるところです(笑)手軽に山登りの満足感を味わえますし、どんどん登っていただきたいですね!Googlemapにも載ってますし、いろんなところで感想をもらえると嬉しいです」

取材年月:2026年3月

