みなさんこんにちは、ヤゴー編集部の澁谷です。
まだ明るい夕方からビールをくいっと!ちなみに僕はお酒を飲みだすと楽しくなって、今日という1日が終わらないように1分でも長く起きていようとする男です。要するに、ちょっとした迷惑な男です。
明るいとたくさん時間が残されてるみたいで、安心して飲めるなぁ…
えへへへ、、、美味しい…なんとも情けない顔をしておりますが…はい、取材です。
今日は白川町にてクラフトビールを醸造・販売する『農LAND BEER』のタップルーム*開催日なんです。(現在は月に2回ほど開催されています。開催日などの詳細はInstagramから)
*クラフトビール醸造所が自社製のビールを提供する場所のこと。タップ(TAP)とはビールの注ぎ口を意味します
白川町を丸ごと味わえるクラフトビール
一杯目にいただいたのは、白川町産のほうじ茶をふんだんに使用した”ほうじ茶アンバー”
ほうじ茶ならではの深い香りと、飲みやすい苦み!ビールの苦みが苦手な人でも美味しく飲めます。
そしてこの”ほうじ茶アンバー”は、日本国内で醸造されたビールに特化した審査会であるジャパン・グレートビア・アワード2024*にて、なんと映えある金賞を受賞しました!!!
*クラフトビール品質向上に資するために開催される、日本国内で醸造されるビールに特化した審査会
2023年の9月にグランドオープンしたこちらの醸造所。
里山の自然を活かした有機農業や花屋、シャワークライミング体験やバーベキューなどの提供を行う『株式会社Sunpo(以下:Sunpo)』が運営しています。
「里山をフィールドにして、楽しいことはぜんぶやる」というスタイルの元に、さまざまな事業を提供しているんです!
この日のタップルームでは、ビールだけでなくテントサウナを設置!またテントを張り宿泊も可能な状態に…!
ビールが一つのコンテンツになり、里山を丸ごと楽しむ環境が整えられています。
タップルームというよりは、白川という里山を堪能できるキャンプ場…?
普段は「次の日が何の予定も無い休日だとワクワクする」ほどインドア派な僕ですが、、
この場所に来るとなんだか自分の中にある野性的な一面を刺激してもらえるようで、気分が高揚します。これはアウトドア好きにはたまらないだろうな…
この日は前述した”ほうじ茶アンバー”に加え、白川町産のお茶を使用した”和紅茶エール” ”緑茶ヘイジー”、そして『Sunpo』で育てられた農薬不使用のお米をふんだんに使った”ライスラガー”という豪華なラインナップが提供されました!
場所の環境だけでなく、クラフトビールを通しても「白川の自然が育んだお米やお茶」という里山を味わうことができます。
(季節や状況によって提供されるラインナップは変更されます)
グランドオープンからわずか半年での金賞受賞という快挙、刺激的な環境、そして豊富で豪華なラインナップに僕のビールを飲む手が止まりません。
ちょうど良い酔い心地になってきました。まだまだ明るいし時間は残されているから、、いったんこのあたりでストップして取材をしなければ…!
代表が掲げる「本気で楽しく地域経済をつくる」というビジョン
すぐ近くでビールを飲んでいた『Sunpo』の代表である児嶋健さん。会社の代表っぽくはないですが、会社の代表をされています。
2012年に有機農業をするため、脱サラをして家族で黒川地区に移住してきた健さん。
元から自然が大好きで、愛知県で会社員として勤める傍ら郡上市の長良川で行うラフティングのガイドをするなど、里山と接する生活を送っていたと言います。
山で遊んだりガイドをしたりしてると、いろんな”型にハマっていない人たち”と出会うんだよね。仕事だけじゃなくて遊びも極めて、自由に生きるみたいな(笑)
会社員が嫌だったわけじゃないし、正解なんてないんだけど「どういう生き方が自分にとって豊かで幸せなんだろう」っていうのはすごく考えたね。
それに当時から地方格差の問題とか環境問題に関心があった。田舎が好きで、里山の存在意義をすごく感じていた。白川町みたいな綺麗な里山を守りながら、環境問題を解決できないかっていうことで、まずは有機農業を生業として移住することを決めた。
「常に自分の中で、自分にとっての答えを出すようにしている」と語る健さんが出した答えが、”里山で、環境問題を解決しながら暮らしをつくる”という生き方でした。
有機農業だけにはぜんぜん固執していなくて「本気で楽しく地域経済をつくる」ことを目的にいろんな活動をしてる。
人が減って衰退していくと地域は持続できなくなる。だから都市部を巻き込んだコミュニティをつくっていく必要があるよね。それが結果として地域を盛り上げて、より楽しい環境にしてくれる。
クラフトビールは…何て言うんだろう。この地域を盛り上げるツールになるといいね。
タップルームには地元の方はもちろん、町外や県外の方も訪れます。
まさに体験型のビールツーリズム。あらゆるものから里山を感じることができるこの場所で、都市部の人も巻き込んだ繋がりが生まれています。
自分が到達したいところや、そこにたどり着くために自分に何ができるかは常に考えてる。でも考えてるだけじゃ何も生まれないから、最近はとにかく行動してる。とにかく動いて、動いちゃったら余計に考えるしかないからまた考えるみたいな(笑)
行動する時は、直感だね!常に考えてるからこそ、直感を感じたらそれを信じてすぐ動く。
そりゃそうやって行動してるとやりたくないことがたくさん出てくるけど、やりたいとかやりたくないとかじゃなくて、自分の掲げるビジョンのためにやれることをやっていくっていう感じ。
クラフトビールが大好きな友人の言葉をきっかけに、クラフトビールに興味を持ち始めたという健さん。ビールのマーケットの広さや成長産業であること、そしてこの場所で「地域を盛り上げる」活動に絡めることができると考え、行動に踏み切ったと言います。
とりあえず1回クラフトビールについて調べてみたんだよね。そしたら近くの瑞浪市に『カマドブリュワリー(https://camado.jp/)』っていう醸造所があって、そこに日本でレジェンド的なすごいブルワー(醸造士)の人がいた。
友だちに「近くにレジェンドみたいな人がいる!ちょっとおれメールしてみるわ!」って言って(笑)
それでその人に学ばせてもらえることになった。そこのビールはほんとに美味しいし、その地域を盛り上げることを目的にしてビールをつくってる。理念に共感できる一流の人が近くにいて、自分にとってはもう迷う理由がなかった。
パワフルな生き方と深く自分を見つめる冷静な言葉に、軽やかな行動と受け答え。
いつも自分と向き合い、答えのない問いに何度も自分なりの答えを出してきたからこそ、揺るがない軸を持って生きることができる。その強固な軸に沿った軽やかな行動が、渦を巻いて多くの人を巻き込んでいます。
健さん、会社の代表にしか見えない…
白川町の有機農家ならではのクラフトビール
ビール醸造を担当している吉田未紗希さんに、醸造所内を案内してもらいました。
『農LAND BEER』のクラフトビールのいちばんの特徴は、白川町の有機農家ならではの副原料。白川町産のお茶はもちろん、お米や椎茸、山椒(さんしょう)、薄荷(はっか)、八朔(はっさく)など、旬の季節ごとにたくさんの味わいを楽しむことができます。
そしてそれらを支えるのは、里山の源流に近い”水”と、地域内で連携して有機堆肥を循環してつくられた”土”。
その副原料に合うように、それぞれ何十種類もある麦とホップの組み合わせを考えていきます。
まさに白川町だから味わえる、地産の味です。
組み合わせを考えたりするのは、実験みたいで面白いですよ(笑)
今後は体験醸造のプランも提供していくので、そこに参加してもらうと好きな麦とホップを組み合わせて自分だけのビールをつくってもらうこともできます!ビール好きな人には最高だと思います!
麦は種類、産地や焙煎度合いによっても匂いが変わります。ビールの色は焙煎した麦の色味で左右されるんです。
ホップもレモンのような柑橘系のさわやかな香りのするものや、草っぽい香りを含むものなど、たくさんの種類があります。
今後の体験醸造も楽しみになってきますが、それよりもお話を聞いてるとまた飲みたくなってきた…
くぅ…うまい!
まとめ
気づけばあたりは暗くなってきたので、たき火を囲んでみんなで集まります。
元から仲が良い人も、知らなかった人も、みんなが火に吸い寄せられていく。なんで火って、こんなに見つめてしまうんだろう。
もちろんビールだけでなくジュースやフードメニューもあるので、お酒が苦手な人やお子さんも楽しむことができます。
この日は健さんお手製のスパイスカレーが提供されました!
次は民泊を始めようと思ってる。テントを持っていない人も、ビールを飲んだ後にそのまま泊まれたら楽しいよね。
この場所を”農ランド”にしたい。みんなで楽しめる、テーマパークみたいな里山づくりをしていきたいね。
白川町の山と川に『Sunpo』が耕す畑、薪割り、たき火、ビールを飲んだりカレーを食べて火を囲む人、空いた場所でボールを蹴っている地域の子どもたち。
この場所に来ると、自分が少しだけ自然に近づいて、自分と他人の間にあったはずの距離が近くなった気がします。自分と周りの境界が緩やかになり、なんだかその状態が心地良い。
僕は自分のことを「人見知り」だし「インドア派」だと思っていました。
でもそれはあくまでも自分の一部で、自分で自分のことを決めつけていただけなのかもしれない。そんなことを考えていたら、22時になっていました。時間が経つのが早い!楽しい!まだ終わりたくない…でももう眠い…
”都市部か地域か”とか、そういう二分されたような極端な世の中って面白くないじゃん!
みんなに里山の良さを知って欲しいし、この場所がそのきっかけになれば良いよね。
『Sunpo』が掲げるビジョンはこれから先も新しい形となり、あらゆる境目を曖昧にしながらより多くの人を巻き込んでいくんだと思います。
みなさんも、ぜひ一度この農園に足を運んでみてはいかがでしょうか?