縦向きにしてください

「なぜ白川町の給食はこんなに美味しいのか!?地域の食材にこだわった給食の秘密に迫る!」

みなさんは、学生時代に食べた給食の味を覚えていますか?

 

「給食が美味しい!」と白川町の学校に赴任経験のある先生たちが口をそろえて言う、白川町の給食。

そしてなんと、白川町の栄養教諭である遠藤麻紀子(えんどうまきこ)先生が考案した給食が、令和5年度の学校給食調理発表会*にて優秀賞に輝きました!

*「岐阜県の味を伝える学校給食をテーマに献立を考案する、岐阜県学校給食会が開催するもの。審査は「献立内容・調理の工夫」「食に関する指導」の観点により行われます。(岐阜県学校給食会ホームページ参照

 

表彰を受ける遠藤先生

表彰を受ける遠藤先生(写真中央)

 

給食は、子どもたちが地域の食や食文化についての理解を深めるために『地場産物(地域で採れた食材)』の利用が促進されており「それぞれの地区で特徴がある」ものとなっているとのこと。

 

ますます白川町の給食を食べてみたい…!

ということで、実際に『優秀賞を受賞した献立』が給食として提供される日に、小学校にお邪魔してきました。

 

いざ、給食を実食!

小学校の入り口に置かれた、来賓者の名前が書かれたボード

やって来たのは白川町立蘇原(そはら)小学校。

この日は給食の時間に、5年生の児童に対して遠藤先生による『食に関する指導』も行われるということで、献立を審査した学校給食会の方々も試食にいらっしゃいます。(並べて名前を書いていただき恐縮です…)

 

学校に来た、というだけで少しテンションが上がりますが、そのうえ給食まで試食させていただけるなんて…夢みたい。

 

優秀賞を受賞した給食

でてきました…!

指導が始まる前に、別室にていただきます。

 

この日の献立は『白川町の地場産物を通して地域や生産者の思いを知り、感謝をして食べよう』という目標の下につくられたもの。

 

・有機米ご飯

・無薬で育てられた豚『あんしん豚(あんしんとん)』のつけ焼き

・根菜いっぱい五目豆(使用されているレンコンは有機で育てられ、地元農家さんが20年以上出荷してくれています)

・ずいきの呉汁(「ずいき」は里芋の茎の皮をむいて、干して乾燥させたもの。地元農家さんが手作業でつくってくれているとか…!その他にも大根、味噌、豆腐と油揚げも地場産物です)

 

ほとんどすべての献立に、手間暇をかけて白川町でつくられた食材が使用されています。給食ってこんなに豪華だったっけ…?

 

学校給食会の理事長である永治(ながや)さん、遠藤先生、食育専門員の臼田先生(左)

学校給食会の理事長である永治(ながや)さん(左奥)、遠藤先生(右)、食育専門員の臼田(うすだ)先生(左)

実際に給食について説明をしてもらいながらいただきました。なんだかフルコースの食事をいただいているみたい…!

 

白川町の栄養教諭である遠藤先生

白川町の栄養教諭である遠藤先生

「白川の方々は「地域の子どものために!」っていう想いがすごく強いですね!地場産物をこれだけたくさん使わせてもらって、調理員さんも手をかけて愛情を込めてつくってくださるので、それが美味しさの秘訣だと思います」と遠藤先生。

 

地場産物の食材は、市場で出回っているものと違い形や大きさが不揃いな場合もあります。調理員さんの作業が増えることもありますが、20年ほど前から”給食への地場産物”の使用が始まったこともあり、

「調理員さんが慣れていて、且つ少人数の白川町だからこそできる取り組み」なんだとか。

 

「20年前にやり始めたことが、今に繋がっていますね」と語ります。

 

学校給食会の理事長である永治さん

学校給食会の理事長である永治さん

「ホントに美味しい!子どもたち、羨ましいなぁ…!」

と高揚した反応を見せてくれたのは、学校給食会の理事長である永治さん。

 

「お米はもちもちで甘いし、これだけで食べられるね!豚肉もめっちゃ柔らかい。すごい、ホント美味しいなぁこれ。こんな給食が食べられるところに住んでるの、ええなぁ!」

 

これだけ褒めてもらえると、なんだか僕まで誇らしくなってきました…!

今回の優秀賞受賞のいちばん大きな要因は『地域の温かさが伝わってくる献立』とのこと。

使われている食材にも手間がかかっており、とっても貴重。たしかに、これだけの食材が集まるというだけでも『地域の温かさ』が伝わってきます。

 

先生が伝える『地域の温かさ』

授業で生産者のことを紹介する遠藤先生

その後は給食時間に行われる、遠藤先生の『食の指導』にお邪魔してきました。

山に囲まれた白川町という地域の特性や、今食べている給食の食材をつくってくれた生産者の方の想いが、遠藤先生を通して子どもたちに伝えられます。

 

「私もいろいろ勉強するために、生産者の方のところに直接お話を聞きに行きました」

遠藤先生が実際に生産者の方々にお話を伺ったからこそ、伝えられること。食材や、その味だけでなく、先生が生産者と子どもたちを繋ぐことで伝わる『地域の温かさ』があるんですね。

 

授業の様子

食べながら、食べている物の説明を受けるって、とても贅沢な授業です。

 

給食を食べる児童の様子

「ぜんぶ美味しい。いっつも美味しい!」

 

給食を食べ終わった児童の様子

「お米がもちもちで美味しかった。うーん…でもぜんぶ美味しかった!」

 

食べた感想を伝えてくれる子どもたち。

 

食べ終わったお皿を下げる児童の様子

残す子はだれもいません。言葉はもちろん、この様子を見ると美味しさが伝わってきます。

 

白川町の給食の美味しさが分かったところで…

遠藤先生が伝えてくれた、美味しさを生み出した『地域の温かさ』に触れてみたくなりました。

 

生産者の想い

学校給食センターの外観

ということでやって来たのが、蘇原地区の三川にある学校給食センター。毎日ここで、白川町内にある保育園から中学校で食べられる約650食の給食がつくられています。

今日はこちらに生産者の方が納品に来られるということでやってきました。

 

生産者の中島さん

有機米を提供してくれる中島克己(かつみ)さん。

中島さんは佐見地区で、平成元年から有機米づくりに取り組んでいます。

 

「地域で採れたものを地域で食べる。そういった地産地消が給食でもできたらベストやね。だれが、どんな想いでその食材をつくったかを子どもたちが理解すると、地域の繋がりがもっともっとでてくると思う

 

給食を通して、地域の繋がりが生まれる。どういうことでしょう。

 

「同じ「いただきます」っていう言葉でも、食材をつくっている人のことが分かると、その人に対する感謝の気持ちが出てくる。食べることに対する気持ちが変わると、食べ物を大事に食べることができるようになる」

 

トラックから納品するお米を下ろす中島さん

生産者と消費者の『顔の見える関係』が大事だと言う中島さん。

地域食材でつくられた給食を食べる。その生産者の方々の想いを知り、感謝する。それが子どもたちと地域を繋ぎ、食に対する興味関心を高める。

その連鎖は、地域の食とそれを育てる地域の自然を守ることにも繋がっていくと言います。

 

遠藤先生の『食の指導』を受け中島さんたちの想いを知った子どもたちが、しっかりと完食し「美味しかった」と伝えてくれたことを思い出しました。

 

中島さんが育てるブランド『赤とんぼ米』

中島さんが育てるブランド『赤とんぼ米』。この絵はなんと中島さんの手書きです…!

手間暇かけてつくられた食材。その食材を使って、調理員さんによって愛情を込めてつくられた給食。生産者の方の想いを子どもたちに伝える先生。

「美味しい給食」ができるまでには、こうやってたくさんの想いが繋がっています。

 

学校給食センターの調理場の様子

学校給食センターの調理場の様子。調理には多くの手作業も含まれています

 

最後に

栄養教諭の遠藤先生

最後に、遠藤先生に今後のことを伺いました。

「白川に来てたくさん地場産物を使わせてもらっていますが、子どもたちが生産者とその想いを知ることが大切だと思うので、生産者を紹介した『白川町の学校給食地場産物MAP』をつくりたいですね!」

 

白川町の地図のなかに、食材や生産者の顔写真が載ったお手製マップ。きっと子どもたちがそれを見たら、感謝の気持ちが湧いてくる。

 

「これからも地場産物を使って美味しい給食をつくって、子どもたちに白川町の良さを知らせていきたいですね」

給食を食べる児童の様子

 

一食ごとに含まれる、さまざまな人の想いと繋がり。目に見えないそれらを感じられる取材は、白川町をもっと身近に感じ、心が温かくなる時間でした。

  • 取材執筆/写真:

    澁谷尚樹

  • 企画・監修:

    白川町役場企画課・Anbai株式会社

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