キャンプ場と道の駅を運営する『美濃白川クオーレふれあいの里』(以下クオーレの里)のスタッフ、西野靖浩(にしのやすひろ)さん。
学生時代から「まちづくり」の活動に興味を持ち、
大学生の時には10万円以上の協賛金を集めた『美濃白川フォトコンテスト』含め数多くの企画・イベントを実施しました。
現在はクオーレの里主催の『ウォーキングイベント』や『道の駅レシートラリー』、また町最大のイベントである『美濃白川ふるさとまつり』(2023年10月29日開催。詳細はこちら)の企画運営を行うなど精力的に活動しています。
一人ではできない「まちづくり」
——西野さん、よろしくお願いします!
お願いします!
——西野さんは白川町で「まちづくり」に関わるたくさんの企画をされています。まずは、西野さんが思う「まちづくり」について教えて欲しいです。
町に仕事があって、若者がいて、住んでいる人が豊かで幸せを感じられる状態をつくりたいですよね。
1日に数千人集まるイベントを開催するのもいいけど、参加してくれた人とコミュニケーションを取って、白川町と継続的に繋がりを持ってくれるような企画をしていきたいなと思っています。
——1度のイベントで終わる活動ではなく、白川町と関わってくれる人が増え町が継続的に盛り上がっていくような活動ですね!
そうですね!去年来てくれた人が今年も『ウォーキングイベント』に来てくれるとやっぱり嬉しいし、そういう人を増やしていきたいです。
——1度のイベントと違い継続的な「まちづくり」の結果は目に見えづらいようにも感じます。
そこは気持ち的に難しくて、なかなか活動できない『空白の数年間』もありました(笑)
実際に新しいことを始めるのはすごい大変で、周りの理解を得られないこともある。それを乗り越えて実施しても本当に白川町が良くなったか分からなくて「僕がちょっと頑張ったところで、白川町が良くなるわけじゃないよな」って思うこともありました。
「まちづくり」への想いはあるけど、頑張れなかったんです。
——新しいことをたくさん始めた西野さんだからこそ感じることですよね…
そこまで自分に自信がなかったんです。
大学の時も、企画をしても自分の理想通りにはいかなかった。クオーレの里で働いてからも、うまくいかなかったり続けられなかった企画もありました。
——その気持ち的な難しさを乗り越えるきっかけはあったんですか?
最近ぎふクエ*に参加したのが大きかったです。
*ぎふクエ:過疎地域リーダー育成講座。岐阜県内の過疎地域が抱える様々な課題に関して、状況を打開し解決を図るための、核となる人材育成を目的に2022年11月から約半年間を通して実施された。
そのなかで山梨県早川町っていう、人口が900人ぐらいの過疎地域に2泊3日のフィールドワークに行ったんです。
——白川町より遥かに過疎地域ですね…
そうです(笑)そこで受講生がグループに分かれてまちづくりのことを語って、一から早川町のことを考えて最後にプレゼンをしました。それがすごい楽しくて、やっぱりまちづくりって良いなって再確認できましたね。
——同じ講座を受ける人たちみんなで取り組んだことが大きかったんでしょうか。
やっぱり一緒にやってくれる人がいると、背中を押してもらえますよね。
自分ひとりで、自分のために頑張るっていうのは強くないとできないです。でもみんなでチームになって取り組んだり、誰かのためにと思ってやると頑張れる。
——「まちづくり」というと規模が大きくなってしまいますが、そうやって周りの人のことを具体的に感じられることが大切なんですね。
そうですね!
あとこれまでの活動をやってきて思うのは、本気で頑張っていると、周りで応援してくれる人や協力してくれる人がでてきて、不安に押しつぶされそうになっても最後はなんとかなる。
だから本当にやりたいことは、まずは3年続けてみるのが大事だなって思うようになりました。今続けているイベントも、3年続けることで形になってきたなと思います。
——「自信がない」という西野さんだからこそ、経験を通して感じたその言葉が響いてきます。
朝4時半から地元を感じた日々が、地元に貢献する活動に
——そもそも「まちづくり」に興味を持ったきっかけは何だったんでしょうか。
高校3年生の時、地元の黒川で犬の散歩をしながら「この道沿いは10年後、20年後にいったい何人が住んでるんだろう。誰も住んでいないんじゃないか?」って思ったのをきっかけにしています。
——きっかけに”している”というのは…?
犬の散歩の時に思ったことは、大学の進路なんかを決める直接的なきっかけになったとは思います。
でも本当は、それ以前の黒川での生活が影響しているのかなと。
——黒川での生活、ですか。
祖父や父が自営業で地元との関わりが多かったり、地歌舞伎で小学6年生の時に主役をやったり、黒川のお祭りで神輿を担いだり。
中学生の夏休みは、朝4時半に起きて犬の散歩をして、ランニングをして、6時半からラジオ体操に行って…それから部活に行ったりしてました。「頑張ってるね!」って地元の人に声をかけてもらっていました。
そんな黒川での生活が、今の自分に大きく影響しています。
——朝4時半…!?精力的な活動をする西野さんらしさを感じるエピソードです!
頑張っているというよりは、逆にそれができないと「今日ダメだ…」ってなってました(笑)
——自分に厳し過ぎます(笑)自分を育ててくれた環境を守り、盛り上げていくという気持ちから大学生での活動に繋がっていくんですね。
そうですね。大学の面接で「将来、白川町に貢献できる実行力をつけたい」って言いました。それで大学では「まちづくり」に関わる活動をしているグループに入りました。
——大学生時代には『10年後の白川町』というポスター作成や、『白川町のおススメの場所マップ』作成、協賛金を10万円以上集めた『美濃白川フォトコンテスト』などたくさんの企画を実施されたんですよね!
白川町役場の方とか、フォトコンテストをサポートしてくれた社会人の方にたくさんお世話になりました。今でもめちゃくちゃ感謝しています。
ちなみにフォトコンテストは白川町の西野健二*さんが優勝しました(笑)
*西野健二さん:白川町で整体院『健心』を営み、『勝手に広報しらかわ』(Instagram)として個人的に白川町の広報活動を行っている。過去のヤゴー取材記事はこちら
——さすがいつも白川町を撮影している『勝手に広報しらかわ』さん…!熱意をもって取り組む西野さんを見て、周りの方のサポートが生まれたんですね!
これまでの活動を次に繋げ、過去の自分ではできなかったことを
——今年からは白川町の最大のイベントである『美濃白川ふるさとまつり』の企画運営にも携わるとお聞きしました。
みんなが白川町の未来に希望を感じられるイベントにしたいです。
来てくれた参加者の方が、出店者さんのお店に足を運ぶようになったり、地域の活動に参加するようになったりとか。そうやって町が盛り上がってくれると嬉しいですね!
それに今年は企画する1年目なので、終わった後の反省含めて来年以降に繋げていきたいです。
想いはあっても、いきなりその想いをきちんと形にできるかどうかは分からない。だからこそ継続していくことを大切にしたいです。
——イベントは、参加者だけでなく西野さん自身も次に繋がるものになってるんですね!
昔会った人が「仕事の報酬は仕事だ」って言っていたのを今でも覚えています。
僕もこれまでいろいろイベントをやらせてもらったからこそ、『ふるさとまつり』みたいな過去の自分ではできなかったことにチャレンジできるようになったと思います。
そうやってどんどん次に繋げていきたいです。
——みんなにとって次に繋がるイベントになって、それが「まちづくり」になっていくんですね。
そうやって、ちょっとずつですね!
あ、そうそう!今日ヤゴーの取材に来てくれるっていうから、これ作って来たよ!怒られるかもしれないから「ヤッホー」にした(笑)
「周りの人に自分の活動を説明しやすいから「まちづくり」って言葉を使っているけど、その言葉は実はあんまり好きじゃない。「まちづくり」はあくまで結果だし、そんなに簡単にできることじゃなくて、僕がやるっていうのもおこがましいかなって思う」
自信がないからこそ、時には気持ちが折れそうになりながらも、周りの人たちと協力して本気で物事に取り組む。
そんな西野さんだからこそ生まれる『繋がり』があるように感じました。
ありがとうございました!
【西野靖浩(にしのやすひろ) さん】
出身 :黒川地区
学校 :岐阜県立白川高等学校(現 岐阜県立加茂高等学校)、岐阜経済大学(現 岐阜協立大学)
職歴 :岐阜FM、美濃白川クオーレの里
趣味 :読書、オーディブル、旅、体力づくり、坐禅
読んでくれている人に一言:2023年10月1日(日)まで、白川町と東白川村にある道の駅を巡る「レシートラリー」を開催しています。
対象となる道の駅は「道の駅美濃白川」「道の駅茶の里東白川」「道の駅清流白川クオーレの里」の3つの道の駅です。この「レシートラリー」は今年で5年目になるイベントです。対象の3つ道の駅のうち2つの道の駅のレシートを集めるだけで応募ができます。お1人何口でも応募できます。応募はイベントチラシの裏面が応募用紙となっています。チラシは対象の道の駅に設置しています。1口でも多くの応募をお待ちしております。
取材年月:2023年05月