縦向きにしてください

「私はやっぱり地域に関わりたい」

自分の気持ちに正直になり目指す『白川町で笑顔をつくる人』

埼玉県出身の山田なみえさんは、2023年4月、大学卒業後に新卒で黒川地区に移住し、白川ワークドット協同組合*(以下:ワークドット)でマルチワーカーとして働いています。

*白川町内の事業所から成る組合で、複数の事業所に派遣され仕事を行う”マルチワーカー”や、町外から一定期間地域で働く人を受け入れる”ふるさとワーキングホリデー”制度の受け入れを行うなど、白川町での”雇用機会”を創出することで町での労働人口を増やす取り組みを行っている

 

「地方創生にずっと興味があったんです。仕事を通して、地域の人たちの役に立ちたいという想いがありました」

 

新卒で都市部から白川町に来た理由や将来目指しているものなど、なみえさんの想いをお聞きしてきました!

白川町の良さを知ってもらうために、できることをやる

——なみえさんは、普段は複数の仕事をするマルチワーカーとして働いているんですよね!

はい、ワークドットの事務や広報の仕事、後は白川町でけいちゃんを食べられる『お食事処 まんぷく亭』の店員をしたりしています。

まんぷく亭で働くなみえさん

まんぷく亭で働くなみえさん

 

——広報から店員さんまで!幅広い!

マルチワーカーは本人の希望を聞きながら、ワークドットに加盟している事業所の中で人手不足のところに派遣されるんです。そこで「ありがとう」って言ってもらったり、直接的に困っている人の支えになれるのは嬉しいですね!

それにいろんな仕事ができるので「自分には何が向いているのか」を模索することもできます。

—–なるほど…地域に直接的に貢献しながら、自分の興味関心があることを複数選択できる環境なんですね。

そうです!あとその他には個人的にInstagramのアカウントをつくって、白川町のことをPRしています(笑)

——プライベートでも広報活動を!

「地域に貢献したい!」っていう気持ちで白川町に来たけど、私は専門的な知識があるわけでもないし、どうやって貢献すれば良いのか自分でもまだよく分かっていないんです。

だからこそできることはいろいろやりたいし、白川町の良さをみんなに知ってもらいたいです。

地域のイベントに参加しているなみえさん

マルシェに参加して火起こし体験をしている山田さん。ご自身で町内での生活を体験し、個人のアカウントでPRしています

 

——マルチワーカーや個人として幅広い活動をされていますが、軸にあるのは「地域に貢献する」ということなんですね。

そうです。地域の人手不足の問題が少しでも解決して、みんなに余裕が生まれて、やりたいことをのびのびできるような環境になれば良いなぁって思います。

私の今の活動は、その小さな一歩…。一歩までとはいかなくても半歩でも、問題解決に繋がるかもしれないって信じてやっています。

 

フィリピンから始まった「地域に関わりたい」という気持ち

——そもそもなみえさんが地域に興味を持ったのは、どういった経緯なんですか?

私、母親がフィリピン人なんですよ。

小学1年生の夏休みにフィリピンの実家に帰った時、空港から実家に向かう道路で、自分とあんまり年齢の変わらない女の子が熱中症になりそうな様子で歩いていたんです。その苦しそうで、どこを見つめているか分からない顔は今でも鮮明に覚えています。

他にも貧困層の人が道路で寝たり、水を売ったりもしていました。

そういう人たちに対して「何かできないのかな」っていう気持ちになったんです。

幼少期のなみえさん

幼少期のなみえさん

 

——子どもの時に普段とまったく違う光景と出会うのは、きっと大きな衝撃がありますよね…

なんだろう…「助けたい」というよりは、子どもながらに「この人に笑って欲しい」みたいな感覚でした。

それでぼんやりと「将来は誰かの役に立ちたい」と考えていた高校生の時『総合』の授業で青年海外協力隊の人が講師として来てくれたんです。

その人は農業支援の仕事で海外に行っていたんですけど、その体験談を聞いて『現地の子どもたちとワイワイしている』写真を見た時に「これだ!」ってなったんです!一目ぼれです(笑)

笑顔でお話するなみえさん

「感覚的に『良い!これだ!』ってなりました(笑)」

 

——一目ぼれ!!見た写真が、小学生の時に感じたものと繋がったんですね!

そうです!フィリピンで見た女の子と同じような環境で生まれた子どもたちが、すごく笑顔でいることに感動しました。それに、もしかしたら自分の行動一つであの女の子を笑わせてあげれたのかもしれないとも思いました。

それで大学の国際系の学部に進学しました。

——たしかにその流れだと国際系がピッタリな気がするけど…そこから白川町に来ることになるんですよね?

大学で入ったゼミの教授から「地方創生を学ぶことは、海外でも役に立つ」と教えられたんです。インフラ的なことや人手不足のこととか、課題も似てるからって。

それで日本の地方に興味を持つようになりました。ゼミの活動で実際に地方に行ったり、いろんな人と情報交換するなかで「海外よりもまずは、自分の国を元気にしたい」と思ったし、ゼミの先輩から白川町を紹介された時に「面白そう」と思いましたね!

その先輩はワークドットが受け入れをしている『ふるさとワーキングホリデー』という制度を使って白川町に来ていたんです。

——自分が興味のある海外について学ぶことを通して、日本の地方に興味が広がっていったんですね。以前の取材で「白川町は日本のネパールみたい」とおっしゃっていた方もいたから、ほんとに白川町は海外と通じているのかも…(「生きる暮らしがしたい 」日本のネパール、白川町での『半農半”料理”

それで私も『ふるさとワーキングホリデー』の制度を使って2週間白川町に来ました。

来てみたら自然豊かで暮らしやすいし、エネルギッシュな人がたくさんいて、直感的に肌に合うなと思って移住する決断をしました(笑)

なみえさんがワーホリ滞在中に地域の方と交流した時の様子

なみえさんがワーホリ滞在中に地域の方と交流した時の様子

 

——「一目ぼれ」もそうだけど、なみえさんは直感タイプなんですね(笑)それで実際に行動するなかで、どんどん新しい出会いやきっかけが生まれているというか!

就活をしていた時、家庭の事情でやりたいことに躊躇している時期があったんです。ずっとやりたかった「地域での活動」ではなくて、別の就職先を決めた時に友だちから「いつ何が起きるか分からないんだから、悔いのないように行動したほうが良い」って言われたことがあって…

その言葉が響いて、すごく泣いちゃったんです。「私はやっぱり地域に関わりたいんだ」って気づけたし、自分の気持ちに正直になりたいって思いました。今でも自分の気持ちと向き合う時は、その言葉を思い出しています。

 

白川町で『笑顔をつくる人』に

——なみえさんの ことを想ってその言葉を伝えた友人も、その言葉を大事にして行動しているなみえさんも、どちらもすごく素敵だと思います。

でもそうやって行動していると、悩むことがたくさんあります(笑)

「地域に貢献したい」という気持ちで白川町に来たけど、逆にみんなに助けられてばっかり。みんなすごく優しいじゃないですか!気にかけて話しかけてくれたり、野菜をくれたり、食事に誘ってくれたり…

——みんな優しいからこそ、感じるものがありますよね。

自分がどうやって白川町に貢献したらいいのか、まだ分かっていない部分もある。だから行動していると、自分の中で矛盾が生まれたり、不安になることもあります。

でも自分の行動を通して、みんなに時間や体力的な余裕ができて笑顔が生まれたら嬉しいし、日々の小さなことでも誰かのためになりたい。そう思って日々行動しています。

笑顔のなみえさん

なみえさんからは「笑顔」という言葉が何度も出ましたが、なみえさん自身の笑顔がとても印象的でした

 

——そうやって行動することが間違いなく将来の何かに繋がっているように思います。

高校生の時に来てくれた青年海外協力隊の人は、生まれも価値観も喋る言葉も違う海外の人たちを明るい笑顔にさせていたんですよね。その姿に憧れたし、めちゃくちゃ惹かれました。

白川町で私もそういう人になりたいです。今はまだ専門的なことができなくても、まずは自分にできることをしてみんなの笑顔をつくっていきたいですね!

笑顔のなみえさん

 

揺れながら、行動を続けるなみえさん。

その足跡がどこに繋がっているのかまだ分からないと本人は口にしたけれど、毎日のその行動となみえさんの明るさが、周りの人を確実に笑顔にさせています。

 

【山田なみえ さん

出身   :埼玉県蓮田市

学校   :拓殖大学

職歴   :ワークドット協同組合

趣味  :読書、映画鑑賞、散歩、カラオケ

読んでくれている人に一言  :ワークドットのマルチワーカーとして、地域のいたるところで活動しています。よろしくお願いします!

 

取材年月:2024年2月 

【ワークドット協同組合】

〒509-1113 

岐阜県加茂郡白川町三川923−4


note

https://note.com/shirakawaworkdot

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白川ワークドット協同組合

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山田なみえさん

https://www.instagram.com/yamada73_nabe/

  • 取材執筆/写真:

    澁谷尚樹

  • 監修:

    白川町役場企画課・Anbai株式会社

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