縦向きにしてください

「白川町だからこそやる」

環境が無いことをチャンスに変える酒屋代表の取り組みと、町で生まれる濃い繋がり

白川町の中心地に位置し、お酒に加えギフト商品なども取り扱う『(有)浅井商店』

2023年4月に代表取締役に就任した浅井良弘(あさいよしひろ)さんは、岐阜県の可児市出身。

結婚を機に白川町に来て10年。婿養子として『浅井商店』に入りました。

 

「結婚するまで白川町のことは聞いたこともなかった」

 

そう語る場所で、

本業だけでなく小学生向けのサッカースクール『白川ダイナモ』の立ち上げや、音楽と言葉で想いを伝える・繋げることを目的とした『音霊(OTODAMA)WAVE』の企画など、精力的に活動する浅井さん。

 

その経歴やバイタリティ溢れる想いについて、お話を伺ってきました。

 

白川町の配送業だからこそ感じる「人との濃い繋がり」

——浅井さん、お願いします。まずは代表取締役に就任されたということで、おめでとうございます!

ありがとうございます。代表になっても何も変わらないけどね(笑)仕事内容も同じだし、小さな会社だから誰かに「よっ!社長!!」なんて言われることもないし。

笑顔でお話する浅井さん

「ここに来るまで白川町は通り抜けるだけで、気づかなかった(笑)」

 

——なるほど(笑)浅井さんのお仕事はどのような内容になるんですか?

僕はギフトやお酒の配送と、白川町内の自動販売機の補充がメインですね。自動販売機は、メーカーさんが行けない場所は、その地域の業者が管理を担当しているんです。それをうちが請け負っていますね。

——町内を回る体力と、細かい管理が必要になりそうですね…!

夏は特に大変ですね。ギフトではお中元があって、自動販売機もジュースがすごく売れるので。

——白川町でのお仕事は慣れるまでに時間はかかりましたか?

前職は可児市で配送の仕事をしていたんです。だから似てる部分もあって、仕事内容はすぐに慣れましたね。ただ白川町はやっぱり田舎なので、田舎ならではの難しさもありますね(笑)

——難しさ、ですか?

配達先のおばちゃんが、めちゃくちゃ喋る(笑)

僕も「次の仕事あるから」って切り上げる雰囲気は出すんだけど、玄関のギリギリまで体を寄せてきてお喋りが止まらない。まあ楽しいんですけどね(笑)

店内の様子

店内はお酒のコーナーとギフトのコーナーが分かれています

 

——白川町らしい…(笑)

可児市で働いていた頃と比べて、人との繋がりが濃くなったのは嬉しいですね。

何度も配達に行くうちに覚えてくれて「おーまた来たか!」って言ってもらえる。それは田舎ならではなんじゃないかな。

——たしかに、みなさん知らない人にとても興味を持ってくれますよね。

繋がりができたことで、前職よりも心の余裕ができたなと思いますね!自分のことを良くしてくれる人に配達するっていうのは、気持ちも楽なので。

ほんと良い町ですよ、白川町。人の温かさで言うと抜群に良い。

お話する浅井さん

覚えてもらうまで1年間ほどは「どこから来たのか」尋ねられまくったそう。白川町らしい…

 

ゼロから立ち上げた少年サッカースクール

——分かります…それは実際に生活してみて強く感じますよね!白川町での活動で言うと、浅井さんは小学生のサッカースクール『白川ダイナモ』も立ち上げていますよね!

そうなんです。サッカーはずっとやっていて、可児でも社会人のチームに入っていました。

ただ当時、白川町にはサッカーの環境がゼロだったんです。指導の経験はまったくなかったんだけど、長男が生まれたこともあって、白川の子どもたちがあの楽しさを味わえる環境を作りたいと思ったのがきっかけですね。

最初は年に数回、サッカー教室を開催するところからのスタートでした。

サッカースクールで、子どもたちの前で喋る浅井さん

年長さん~小学2年生までの第1部のクラスと、小学3年生以上の第2部のクラスに分かれています(写真は第1部の様子)

 

——現在は年長さん~小学6年生で40人弱のスクール生がいらっしゃるんですよね。

たくさん集まってくれて嬉しいですね。

スクール立ち上げの当初は、多い日で参加者が10人ぐらい。少ない時は1人とか2人しか集まらずに中止にすることもありました。

——やりたいのにできない環境は悶々としますね。

そういう状況が2年ぐらい続きましたね。それでもサッカーを教えたくて指導者のライセンスを取りに行って日々指導の勉強をするなかで、少しずつ集まっていきました。

1人とか2人になっても来てくれていた子たちのおかげで今があります。

——好きなことを諦めずにやり続けた浅井さんとその子たちによって、人が集まって来たんですね。

子供が来て、楽しそうにやってくれるのがすごい嬉しいんです。だから同じ練習メニューはしません。少しずつメニューを変えて、毎回楽しめるように工夫しています。

スクール中に指導する浅井さん

子どもたちが楽しめる内容にしながら、第2部ではそれぞれの子どもたちに細かい技術的な指導も行います

 

——毎回!それはすごい…!

仕事が残っている日もあるけど、子どもたちの笑顔が見たくて途中で切り上げて練習に行ったりもしますね(笑)

子どもたちが「こんなことできるようになった!」って報告してくれたり、親御さんから「家でリフティング頑張っています」って聞くことも嬉しいし、今のところは全部を楽しくできています。

 

白川町だからこそ掴みたいチャンス

——仕事のお話よりも熱量を感じます(笑)関わっている人たちみんなが楽しめる環境を作っているんですね…!

基本、自分が楽しんでいるね。自分が楽しんでいるからこそ周りが楽しんでくれているっていうのはある。それができれば僕は満足です。

店内を案内してくれる浅井さん

取材後、店内にいた奥さんから「またサッカーのことばっかり喋ってたでしょ!」というツッコミが入っていました…

 

——浅井さんが楽しい取り組みをしてその気持ちが周りに伝染することで、白川町の人との繋がりをより強くしていってる気がします!

他にも、音と言葉を繋げるという『音霊(OTODAMA)WAVE』の企画もされているとか。

もともと音楽が好きだったので、何かイベントをやろうと思ったのがきっかけです。可児市にいたころはよくライブハウスに通ったりもしてたね。『湘南乃風』というグループのHAN-KUNが好きで、彼が出るライブに行きまくってた(笑)

——湘南乃風…!ぜひこの海の無い町にも来てほしい…(笑)ご自身が楽しみたいからこそ、町にないものを立ち上げているんですね!

HUN-KUN、呼べないかなぁ…

 

そうそう!環境が用意されていない白川町だからこそやってるのかもしれない。可児市にいたらどれもやってなかったと思う。

サッカーやイベントが、みんなが外に出てくるきっかけになればいいね!そのほうが楽しいと思うから!

サッカースクールで子どもたちと一緒にプレーする浅井さん

子どもたちの名前を呼び「ナイス!」と声をかけながら、一緒に楽しむ姿が印象的でした

 

——既にたくさんの取り組みをされてますが、今後していきたいことなどはありますか?

まずは、今取り組んでいることをきちんと続けていきたい。何でも辞めようと思えば簡単に辞めれちゃうじゃないですか。でも僕は自分でやりたいと思ったことは、続けていくことを大事にしてる。

——サッカースクールでも、その継続によって今たくさんの子どもたちがサッカーを楽しんでいるんですよね。お仕事の展望については何かありますか?

会社内で運送業を立ち上げたいです。資金も必要だし簡単ではないけど、小さな夢。

前職で経験したことを、自分が立ち上げからやってみたいなと思ってます。

白川町の環境や、会社の代表という立場だからこそ掴めるチャンスなので、それを掴みに行きたいです。従業員も雇えれば町のためにもなるし。その時はぜひうちの従業員として働いてください(笑)

お仕事についてお話する浅井さん

通常業務の忙しさに加え様々な立ち上げと継続、ものすごいバイタリティを感じます

 

——検討させてください…(笑)「新しいことを立ち上げて、続けていく」という浅井さんのバイタリティを感じます。

考えたことなかったけど、元からそういう願望を持っていたのかもしれないですね。

——最後に言い残したことなどあればお願いします。

そうだなぁ…みんなサッカーしましょう!(笑)

お店の店頭の様子

 

冗談を交えながら、自身の取り組みや想いを語ってくれた浅井さん。

白川町だからこそ生まれる人との繋がりは、浅井さんの行動によってより強く、濃いものになっているんだと思います。

 

浅井さん、ありがとうございました!

 

【浅井良弘(あさいよしひろ) さん

出身   :岐阜県可児市

学校  :岐阜県立東濃実業高等学校

職歴  :運送業、倉庫業、浅井商店

趣味  :サッカー・フットサル・バイク・音楽・消防⁉

読んでくれている人に一言:僕は白川町の人達が大好きです。見かけたらぜひ声をかけて下さいね。

 

 

取材年月:2023年04月 

【(有)浅井商店】

〒509-1105 

岐阜県加茂郡白川町河岐1784−8

TEL:0574-72-1057

 

 

サッカースクール 白川ダイナモ

実施日:毎週火曜日

場所:白川中学校

時間:

第1部(年長~小学2年生) 18:30~19:30

第2部(小学3年生以上)19:30~21:00

  • 取材執筆:

    澁谷尚樹

  • 写真:

    服部健人

  • 監修:

    白川町役場企画課・Anbai

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