蘇原地区にある実家の目の前にコンテナハウスを建て、美容院『SKR』を営む田口さくらさん。
「小学生の頃から友だちの髪の毛を切ってましたね(笑)」
笑顔で美容師になったきっかけについて語る店内は、さくらさんの人柄と相まって明るく過ごしやすい雰囲気。
昔から白川町でお店を出そうと思っていたというさくらさんに、お話を伺ってきました。
続けるために、変わり続ける
——こちらのお店はいつ開業されたんでしょうか?
2014年の12月ですね。
元から人に「ああしろこうしろ」って言われるのが嫌いな性格だったから、じゃあ自分でやったほうがいいじゃんって思ったのがきっかけ(笑)
——お店を持つことが、さくらさんにとって心地良い働き方だったんですね。
勤めていた時は、お店と合わなくて店舗を転々とした時期もありましたね。
最終的には多治見市で家族経営している小さな美容院に落ち着いて、そこでたくさん学ばせてもらいました。それが今に繋がってるかな。
–—–実際に開業されてからはいかがでしたか?
自分ひとりだと代わりがいないし、病気になったりするとお客さんに迷惑をかけることもある。そういう辛さだったり、開業することへの不安だったり、大変なことはあった。
でも自分がずっとやりたかったことができて、みんなオープン当初からたくさん予約してくれて、やっぱり開業して良かったなと思いますね。
——人口が少ない白川町だからこその不安や難しさもあると思います。
今は大丈夫だけど、やっぱり美容院もこのままじゃダメだと思う。どんな仕事もそうだけど、環境が変化していくから同じことをやり続けてたらいつかダメになる。
だから3年ぐらい前から人を雇って、美濃加茂市のほうに脱毛やホワイトニングのお店も出しました。
——継続していくためにも、変化し続けることが大切なんですね。
ちょうどお店を借りた直後にコロナが流行したから、ほんとに大変だったよ(笑)
でも状況はみんな同じだから仕方ないよね。それに当時もなんだかんだでここの美容院にはお客さんが来てくれた。そういうのには助けてもらったし、嬉しかった。
——コロナというただでさえ大変な時期に、新しいお店を持つというのはすごくしんどいですよね。
でもそうやって新しいことを初めて良かったなと思うよ。
変わっていくことは必要だし、美容院だけだったら「もうちょっと何かしたい」ってなったと思う。脱毛器なんてすごい高いから、ローン組んで払うのは大変だけどね(笑)
——『人を雇う』というのは、ご自身でお店を持つのとは違う難しさがあると思います。
そう、難しい!何でも自分でやりたくなっちゃう性格だから(笑)
旦那からも「人雇うの向いてない」って言われて、それに対して「そうだよね~」って思う(笑)
まあでも、そういう『難しいと思うこと』もあんまり深く考えずにやってる。
——お話を聞いていると、さくらさんは先のことを考える部分と勢いで動く部分を使い分けている気がします。
小学生からの「美容師になる」という夢
——そもそもさくらさんが美容師を目指されたきっかけは何だったんでしょう?
小学生の時に友だちから頼まれて、みんなの髪の毛を切っちゃってて(笑)その頃から美容師になろうと思ってましたね。
何の知識もないし、普通のハサミを使ってるからぜんぜん綺麗に切れなかったけど(笑)
——小学生の頃から美容師みたいな活動をされてたんですね(笑)
髪を切るのが上手でもなかったと思うし、なんで頼まれてたのかは思い出せないけど(笑)
小学生の頃は川で泳いだり、茹でてもらったとうもろこしを餌にしてザリガニを釣ったり、田舎ならではの遊びをとにかくやってた。河原に秘密基地をつくって、そこで要らない鍋の中に水と枯草を入れてグツグツ煮て本格的なおままごとしたり(笑)
親から唯一「川で泳ぎには子どもだけで行くな」って言われたけど、当時はみんな自由に遊ばせてもらったよね。
——当時のそういった環境も、今のさくらさんの性格に繋がっている気がします!
川で泳いで、近くにある『福美屋』でカップラーメンを買って食べてたのが懐かしい。
当時は大きなスーパーもドラッグストアもなかったから。
学生時代は勉強もぜんぜんしなかったし、やりたいことやる自由な生徒だったね(笑)
——白川に楽しい思い出が詰まっているんですね。
白川町の成人式では、広報誌の取材を受けて「将来は白川に美容院を出す」って言ってた。
たまたま自分がインタビューされたから、たぶん調子に乗って「白川町に貢献できるように」って感じだったんじゃないかな(笑)
——まさに有言実行ですね!当時から、都市ではなくて白川での活動にこだわっていたんですか?
うん、ずっと白川に住みたいと思ってた。
地元には思い入れがあるし、都会に憧れがあるわけでもなかったから。白川は水も美味しいしね(笑)
『何でもできる町』を、盛り上げたい
——さくらさんが今後していきたいことはありますか?
白川をもっと盛り上げたいよね。
地元のお祭りもコロナで縮小して、これからもその縮小した状態が続いていくかもっていう話を聞いて。もちろん準備や片付け含めいろいろ大変なんだろうけど、寂しいよね。
だから「次からはお祭りの実行委員やらせて」って言っといた!
——お仕事以外でも、実際に白川を盛り上げる活動をされているんですね!
やっぱり盛り上がって欲しいよね。
何年か前に、白川の人がいろんなものを手作りして売るマーケットを開催したこともある!町内の人にDJとして音楽を流してもらって、ピアスとかの雑貨やベーグルをつくって売ってくれる人もいたり。
たくさん人が集まって、出店者もすごい手伝ってくれて、反響も大きかったね。
——今たくさん開催されているマルシェの先駆けのようなものだったんですね。
今は仕事のほうも忙しくてなかなかできないけど、やっぱりこの町で何かやっていかないとね!
予算とかいろんな問題はあるけど「何かできないかなぁ」って、そんなことばっかり考えてる(笑)場所もあるし人もいて、何でもできると思うから。
「そろそろいいんじゃないかなぁって思って、旦那に相談せずに勝手に決めた(笑)」
お店を出すタイミングについてそう語ったさくらさん。
明確な答えを期待して質問したけれど、取材が終わるとすごく『さくらさんらしい』回答に思えて、嬉しくなりました。
【田口さくら さん】
屋号 :車屋
出身 :蘇原地区
学校 :白川高校、大阪ベルェベル美容専門学校通信
職歴 :美容師
趣味 :植物育てる事、めだか、フットサル
取材年月:2023年09月